【十の瞳】
 


グースの次は、だらしなく伸びた髪に無精ヒゲの男だった。


目付きがすこぶる悪い。


くっきりと濃いクマがあるせいか、どことなく、荒んだ印象がある。


顔色も、あまり良くない。



そうだ、バスの中で誰かれ構わず睨みまくってたのは、こいつだったと思い出す。


「……えー、【平三郎】。


二十五歳っす。


趣味はパチンコ……」
 


年齢詐称じゃないか、と数人がびくりと彼を見つめたが、平三郎本人はしれっとしていた。


本当なのか嘘なのか分からないが、とりあえず話す事が無くなったのか、


だらだらと好きな酒の話までし出した辺りで、隣の男性が咳払いをし、選手交代となった。
 


ここで立ち上がった男性こそが、【えどがぁ】だった。
 

背が高く鼻筋の通った、品の良いおじさんである彼は、


インテリの証であるかのように丸眼鏡をかけていて、どことなくアップルの創始者にも似ていた。


というより、意識して似せているのかもしれないが。
 


紳士然とした彼の態度は、余裕に満ちていた。
 

おそらく、参加者の中では年長者なのだろう。


短く切られた髪の中には、いくらか白いものがまじっていた。




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