【十の瞳】
総括すると、こんな話だ。
この地にはその昔、生き残った落ち武者達と、その君主の娘たる姫が一人、落ち伸びたという。
しかし、当時の農民は、戦という戦を憎み、落ち武者狩りをよくしていたらしい。
当然、彼らも例外ではなく、進退きわまって村に助けを乞うた彼らは、怒れる村人たちの手によって皆殺しにされてしまった。
ただ一人、山の中の洞窟に密かに匿われていた姫だけが残った。
しかし、面倒を見てくれる侍女も臣下の者もいない上、
これまで城の中で大切に育てられてきた姫が、一人で生きていけるはずなど無い。
彼女は、洞窟で臣下の帰りを待ち、ただ飢えた。
飢えたまま死んだ。
自害する力も無く、屈辱的な最後だったという
(どうしてその光景を見てきたかのように、事細かに伝わっているか、という疑問は置いておく)。