【十の瞳】
が、ある年に村を訪れた旅の僧侶が、
「一夜の宿にと入り込んだ山奥の洞窟で、高貴な衣と女のものらしき骨を拾った」
と、村長に差し出した。
事態を察した村人達はすぐに、彼女のための祠を立て、手厚く埋葬したという。
そしたら、ぴたりと行方不明者は出なくなり、村に再び平和が戻ってきた、という話だった。
「ふむふむぅ……何やら、ありがちな鬼女伝説でありますなぁ……」
忙しなく裂きイカ(私物)を咀嚼しながら、グースが言った。
えどがぁさんは、
「ところが、この話はまだ終わりじゃないんだな……。
ここに来る時、細い道があっただろう?」
「ああ、あの崖の近くの……」
本当はそこまで詳細に観察はしていなかったのだが、一応それっぽい事を言っておいた。
「そうそう。
その祠や塚というのは、そこにあったらしいんだ」
「えっ?」