【十の瞳】
「でも、ダムの工事が始まった時に、重機を通すために壊してしまったのだそうだよ。
どうせ沈む村だから、と……」
「ふほおおおおぉぉ……。
つまり、えどがぁ氏は、その落ち武者やら鬼姫たんやらの祟りが、復活するとお思いででで?」
「さあ……どうだか分からないね。
でも、もしそうだとしたら、【マスター】も藤浦さん達も、とっくに餌食になってたさ……」
餌食、という言葉のグロテスクさに、僕は思わず震えた。
「まあ、周囲は廃村とはいえ、とりあえずここの館だけは機能しているし、
――独自に発電もしているのだろう。
携帯電話もネットも通じないのは困るが、それもまあ仕方ない。
せいぜい、楽しもうじゃないか」
うんうん、と頷き合うメンバーの中で、ふと僕はいつになったらこの雨は止むのだろうと窓を見上げた。
空調の音で意識しづらいが、雨はまだ叩き付けるように降り続けている。