【十の瞳】



「でも、ダムの工事が始まった時に、重機を通すために壊してしまったのだそうだよ。


どうせ沈む村だから、と……」


「ふほおおおおぉぉ……。


つまり、えどがぁ氏は、その落ち武者やら鬼姫たんやらの祟りが、復活するとお思いででで?」


「さあ……どうだか分からないね。


でも、もしそうだとしたら、【マスター】も藤浦さん達も、とっくに餌食になってたさ……」
 

餌食、という言葉のグロテスクさに、僕は思わず震えた。


「まあ、周囲は廃村とはいえ、とりあえずここの館だけは機能しているし、


――独自に発電もしているのだろう。


携帯電話もネットも通じないのは困るが、それもまあ仕方ない。


せいぜい、楽しもうじゃないか」
 

うんうん、と頷き合うメンバーの中で、ふと僕はいつになったらこの雨は止むのだろうと窓を見上げた。
 


空調の音で意識しづらいが、雨はまだ叩き付けるように降り続けている。


< 28 / 150 >

この作品をシェア

pagetop