【十の瞳】
「え?」
「この話知らないの……。
だって皆、とっくに起きてたんでしょ?
十二愛ちゃんも、そこにいるし……」
蝶子は、ソファーにじっと座っている、ゴスロリ少女を指差した。
四十八願十二愛。
まだパジャマのメンバーがちらほらいる中、……朝からばっちりゴスロリ服だ。
しかも昨日と違った、クリーム色の布地に、赤いリボンがいくつもついたドレス。
きっちり結い上げられた髪には、フリルのついたヘッドドレスまで装備している。
靴も雰囲気に合わせたのか、赤い編み上げブーツだった。
……夏に、ブーツ……。
ゴスロリというおしゃれの前には、季節感などガン無視せざるを得ないらしい。
しかし彼女は、何やら蒼ざめていた。
きっと、不安なのだろう。
「……そうですね。
あなたで最後みたいです……ふあああ……」
眠たそうな目をしている蝶子さんを見たら、つい欠伸が出てしまった。
「おっきな欠伸……。寝不足?」
「ええ、……昨日は、なかなか寝付けなくて……」