【十の瞳】
事故の話をした時、タキさんがショックで発作を起こした。
狭心症の持病があるのだという。
幸い、彼女の持っていたニトロで発作はすぐに治まったが、彼女はこれを機に床に伏せってしまった。
僕は着替えた後、十二愛にも同じ報告をした。
彼女はひどく傷付いたような顔をしてから、「そう……」と虚ろな目をして、ベッドに転がった。
その様はまるで、糸が切れた等身大の人形のようだった。
この日、僕達は夜遅く食堂に集まり、タキさんが用意していてくれたものを、適当にお腹に収めた。
殺人事件と、行方不明者の発生と、不幸な事故。
たった二日の間に、これだけの事が起こった。
だが、藤浦さんの死とタキさんの脱落で、
僕等がいよいよ自力でこの窮状を乗り越えなければならなくなってしまったのは、確かなようだった。