【十の瞳】
 


巨大な炊飯器のタイマーが鳴った。
 

それと同時に、


「いい匂い~……何作ってるの?」
 

蝶子が来た。


「カレーですよ。


あと、サラダとか、酢の物とか、色々……」


「酢の物じゃなくて、マリネな。


あ~んもう、蝶子さんも手伝ってくれりゃーよかったのに……!」
 

軽く訂正しつつ、ファニーペインが蝶子にちょっかいを出そうと、近寄る。
 

彼女がいると言っていたくせに、隙あらば異性を口説こうと奮戦する彼を、ある意味尊敬した。


「お皿出して貰えますか」
 

僕は、ファニーペインをかわしてマリネのタコをつまみ食いしている蝶子に頼む。


「はいよぅ……ん~、おいし」

 
もぐもぐ口を動かしながら、食器庫へ向かう蝶子を、ファニーペインが残念そうに見送る。


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