モノクローム
「えーっと、とりあえず客間に運びますかね。こっち」
リビングよりも奥にある、和室の部屋へ通した。
一人分の布団をひき、一番にきた新谷くんにここにキングを寝かせるように行った。
他の四人を和室に残し、私は救急セットを持ってきて、キングの怪我した部分を見た。
「あーあ……」
相手は刃物でも持っていたのか、キングの腹はざっくりと切られていた。
まだ出血しているし、とりあえず血を止めなきゃな。
「はい、終わり」
しっかり消毒し、包帯も巻いた。
幸い、浅く広くという切れ方だったので、縫う必要はないと思う。
寝ているキングの顔色はまだ悪いが、呼吸は落ち着いていて、しばらく休めば大丈夫だろう。
「ユエちゃん、ありがとー」
細かい傷を作りながら、しかしいつものように可愛らしい笑顔を作った飯塚くん。
疲れの色が見えすぎている。
目を配れば、他の人たちも同じような感じだ。
喧嘩疲れか、キングが心配すぎたか。
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