リアル
「……俺、恋人どころか、友人も作るつもりないんです」
隆は本心をさらけ出した。
どう思われても構わないが、嘘だけはつきたくない。
そう思ったのだ。
「理由は……て、訊いてもいいかな?」
生野の言葉に隆は頷いた。
緊張が走る。
これから自分が口にすることは犯罪行為だ。
そして、目の前にいる生野は刑事。
その関係性だけではなく、人間としてどう思われるかも不安だった。
「両親を殺した奴が見付かったら、俺はこの手で殺したいと思ってます。そしたら俺は殺人者になる。だから、親しい人は作りたくないんです。余計な迷惑を掛けることにもなるから」
隆は早口で一気に喋った。
今生野がどんな顔をしているか気になるが、顔を上げることが出来ない。
「じゃあ、何故俺にそんな話をしてくれたの?」
かち、というライターの音が耳に届き、時間差で煙草の匂いが鼻に届いた。
「それは……」
それは、何故か自分でもはっきりは分からない。
「俺と親しくなってもいい、て思ってくれてんじゃないかな。人はどうしたって、誰かと一緒にいたいものだし、友人だって欲しいはずだ」
生野の言葉がすんなりと心に届いた。
恐らくその通りなのだ。
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