リアル
親しい人を作りたくなかった理由は明確にある。
だが、そんな誓いを固く立てたところで、寂しいと感じる心がなくなるわけではない。
誰かと親しくなりたいと思う感情を消せるわけではない。
「俺は、隆君と友人になれたらいいと思ってる。まあ、年は離れてるけど。いつか、隆君が殺人者になった時は、友人として君を逮捕するし、出来れば、友人としてその行為を止めたいとも思う」
煙草の匂いが充満する部屋の中で生野は言った。
今まで、こんなふうに言葉を掛けてくれる人はいなかった。
育った施設でも、皆隆のことを腫れ物のように扱った。
同情心剥き出しの接し方だ。
そんなことにも嫌気がさしていたのかもしれない。
そんな理由からも、事件のことを他人に話す気にはなれなかったのかもしれない。
「……こんなガキですけど」
隆は溢れそうになる涙を必死に堪えながら言った。
涙が出る感覚自体、体感するのは久し振りだ。
両親が殺されたあの日ですら、恐怖から泣けなかった。
となると、泣いたのは遠い昔に駄々をこねた時だ。
そんなに長い間、涙を流すことすらしていなかった。
「はは、俺が大人に教育してやるよ」
生野が明るい口調で言うので、隆にも思わず笑みが溢れた。
笑ったのも本当に久し振りだった。
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