リアル



「今の人、素敵ね?」


薫は美緒の肩にぽん、と手を置いた。


美緒はそれを合図のように、表情を元に戻した。


「あ、ええ」


美緒ははにかんだような笑みを浮かべて頷いた。


それで隆の想像は確信を得た。


「恋人、ね?」


薫も隆と同じ考えだったらしく、そう尋ねた。


美緒はそれに恥じらうように頷いた。


少女のような表情はまだ蕾の花を連想させる。


「じゃ、その辺りも聞かせてもらおうかしら」


薫は美緒の肩を軽く叩き、笑顔を見せた。


まるで別人だ。


隆は薫を見ながらずっとそう思っていた。






.
< 160 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop