リアル




長い栗色の髪をポニーテールにした利発そうな女性だ。


「お好きな席にどうぞ」


その女性は明るい笑顔で言った。


薫はそれに従い、窓際の席を選んだ。


こじんまりとはしているが雰囲気のいい店で、店の至るところに猫の置物がある。


看板といい置物といい、ここの店主は猫が好きなのだろう。


薫は手作りのメニューを手にした。


可愛らしい文字で書かれたメニューにも、猫のイラストが入っている。


メニューは数個の飲み物にケーキが少し。


薫はその中からブレンドコーヒーを選ぶことにした。


「いらっしゃいませ。あ、蒔田さん」


店員の女性を呼び止めようとしたその時、新たな客が入ってきた。



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