リアル


生野は視線を定まらせずにおどおどとしている美緒に三枚の写真を見せた。


「彼女達に見覚えは?」


質問したのは若月だった。


美緒は、ようやく視線を固定させた。


刑事に話があると呼び止められて緊張しない者などいないだろう。


「あ……最近、殺された方達、ですよね」


美緒は小さく口を開いた。


見た目通りに、澄んだ声をしている。


「顔見知りですか?」


生野は写真をテーブルの上に置いた。


大学の学食が閉まっていた為、仕方無しに近くにあったカフェに入ったのだが、大学が近いこともあり、若者で混雑している。


「いえ……会ったことはありません」


「でも、知っている」


生野の言葉に美緒は頷いた。



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