リアル




「我々警察ではそのように見ています」


生野は写真を仕舞いながら答えた。


「どうしてそんな……」


美緒は今にも泣き出しそうな表情を作った。


「被害者三人、もしくは誰かと個人的なやり取りは?」


「ありません。私は書き込む場を提供しているだけなので」


美緒は声を震わせながら答えた。


「そうですか」


「はい……。本来の職業も何もかも知りませんから」


それもそうだろう。


サイトに書き込まれていることは全て嘘なのだ。


となると、美緒が知っているのはせいぜい本名くらいなものだろう。


「登録者の中に不審な人物はいませんでした?」


「判断は出来ません」


嘘しか書いていないから。


美緒の言葉はそう続きそうだった。



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