リアル



それなら、部屋が荒らされていないことの説明はつく。


鍵だって、合鍵らしきものが見付からなかったので、それで施錠したと思って間違いはないだろう。


だが、いくら顔見知りとはいえ、洗面台に海水を張り、そこに顔を突っ込まれるのに抵抗しない人間がいるだろうか。


「策状痕も特になしか?」


「手足に縛られた痕は見られません」


若月は首を横に振った。


一ヶ月前の事件との類似点はある。


生野は考えながら、二本目の煙草を灰皿に押し付けた。


煙草臭さはそれで消えることはない。


一ヶ月前の被害者は窒息死。


何かあるのだろうか。


そう考えを巡らせた瞬間、携帯電話が振動を伝えた。


その短さからメールだと判断し、生野はメールBOXを開いた。



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