リアル




『明日、急にバイト休みになったから、お母様に会いに行ってくるね』


生野はメールを読み、だが返事はせずに携帯電話を閉じた。


これは別に返事を求めているわけではなく、ただの報告だ。


それに、今は捜査に加わっていることも知っている。


なので、返事をしなかったところで、とやかく言われることはない。


「溺死も、所謂窒息死だよな?」


携帯電話を放り、若月に尋ねる。


「そうですね。脳に酸素が回らなくなって死に至る、てことですね」


そうなのだ。


窒息死も溺死も死因は同じに括ることが出来る。


一ヶ月前に起きた殺人事件は死因が窒息死であったが、やはり抵抗した痕がなく、口を押さえられたような痕も見付かっていない。


そして、やはり死体遺棄をされていた。


類似点は多いが、はっきりと同一犯だと確定していない。


だが、同一犯と見て間違いないだろう、というのが捜査本部の見方だ。


二人の交友関係などに接点はないか。


それを探すのが生野達の仕事なのだ。







.
< 33 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop