Beautiful Butterfly
「キミも飲まない?」


「………いい。」



写真を手に持ったまま、プンと僕に背を向ける。

そんな姿さえ可愛くて、思わず口元がゆるんでしまう。



「僕の教え子でね、とても素晴らしいピアニストなんだ。」


「……そ、そうね。知ってる。」


「容姿も綺麗だからね、マスコミも放っておかないし。」


「………」


「ヨーロッパで賞を取ってから、彼女は本当に成長したよ。ピアニストとしても……」


「………」


「それから、一人の女性としても……」


「………ネオ…。」



ふいに、花音が僕の名を呼んだ。


低く籠ったその声は、いつもの花音らしならぬ、含みのある物言いだった。

< 27 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop