初デートは二人きりで?
「じゃあさ、俺が初めて?」


「え?」


「遊園地とかに一緒に来たの。家族以外は俺が初めて?」



小さく息をはいていると、突然かけられた言葉。

それに顔を上げたなら、そう言う先輩はどこか嬉しそうに笑っていて。



「あ…はい。先輩が初めてですね」


「よしっ!雪乃ちゃんの初めてゲット♪」



先輩はそう言うと、ギュッと手を繋ぎ直した。


指と指が絡まって、さっきよりもぴったりと手がくっつく。

こんなの慣れてるはずなのに、今日はこれだけでもドキドキして。



「こんな入り口で立ち止まってるのもあれだし、行こっか!」


「えっ…ひゃっ!?」



返事をする前に引かれた手。


それに驚きながらも、振り返って私を見た夏輝先輩の笑顔を見て、

私も小さく笑いながら、明るい音楽が鳴り響く中へと入っていった。




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