3つのナイトメアー
いた。
翌日、恭子は冬彦が出張から帰る前に、書斎に置き手紙を残して、二度と戻
ることはないだろう家を後にした。
「拝啓、冬彦様、出張お疲れ様でした。あなたは立派な仕事を持ち、なおかつ
家庭も大切にする、申し分のない旦那様です。それは、これから先も変わらな
いでしょう。でも、あなたは私の前で、あまりに無防備にありのままの姿をさ
らけ過ぎました。夫たるもの、妻に一つや二つの隠しごとを持ってこそ、男性
的魅力を発揮するのではないでしょうか? 私の亡くなった父がそうでした。
私は慣れきった友達みたいな夫婦関係は嫌です。いつまでも、女としてときめ
いて美しくありたい。こんな気持ち、男性を放棄したようなあなたには、一生
わからないでしょうね。そうです。あなたは退屈で詰まらない夫です。突然の
ことで驚かれたと思いますが、これが今までずっと打ちあけずにいた私の本心
です。わがままなことを言ってるのは十分承知です。本当にごめんなさい。恭
子は、納得のいく女の幸せを摑むため、家をでます。これが最後のチャンスに
なると思います。これまでのこと、本当に感謝してます。お体にはくれぐれも
お気をつけください」