3つのナイトメアー


いた。




 翌日、恭子は冬彦が出張から帰る前に、書斎に置き手紙を残して、二度と戻


ることはないだろう家を後にした。


「拝啓、冬彦様、出張お疲れ様でした。あなたは立派な仕事を持ち、なおかつ


家庭も大切にする、申し分のない旦那様です。それは、これから先も変わらな


いでしょう。でも、あなたは私の前で、あまりに無防備にありのままの姿をさ


らけ過ぎました。夫たるもの、妻に一つや二つの隠しごとを持ってこそ、男性


的魅力を発揮するのではないでしょうか? 私の亡くなった父がそうでした。


私は慣れきった友達みたいな夫婦関係は嫌です。いつまでも、女としてときめ


いて美しくありたい。こんな気持ち、男性を放棄したようなあなたには、一生


わからないでしょうね。そうです。あなたは退屈で詰まらない夫です。突然の


ことで驚かれたと思いますが、これが今までずっと打ちあけずにいた私の本心


です。わがままなことを言ってるのは十分承知です。本当にごめんなさい。恭


子は、納得のいく女の幸せを摑むため、家をでます。これが最後のチャンスに


なると思います。これまでのこと、本当に感謝してます。お体にはくれぐれも


お気をつけください」
< 150 / 208 >

この作品をシェア

pagetop