シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


俺が勝負に勝ったら、芹霞は元に戻るのか?


心が叫ぶんだ。


否、と。


芹霞は…俺が勝負を決意する為だけの餌ではないかと。


今更ながら…そう思うんだ。


俺が勝っても勝たなくても、芹霞が他の男のものになるというのなら。


芹霞の横に俺が立てないというのなら。


俺は此の世に存在したくない。

生きていたくない。


生きることに、意味などないじゃないか!!!



「……櫂」



そんな時、聞こえた声は…絶対幻聴だと思った。


俺を呼ぶその声が…芹霞のはずがない。




「櫂ってばッッッ!!! ちょっとくらいこっち向きなさいよッッッ!!!」




怒り口調でぴょんぴょん飛び跳ねている姿が視界に入った時、



「芹霞!!!?」


間違いない。


あれは――

俺の芹霞だ。


俺が見間違えるはずがない。



俺は驚き…そして歓喜し、顔を弛ませ…思わず肩から皇城翠を落としてしまった。



「いでッッッ!!!」



尻を摩りながら目覚める翠をそっちのけで、



「芹霞ッッッ!!!」


手を伸して芹霞に元に駆けようと足を動かした時、



「余裕だな…」



すっと――


俺とよく似た男が、間を遮ったんだ。


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