シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
あたしは両手を広げて、櫂との間に立った。


「櫂、あたしが足止めするから。早く行って」


「嫌だ、芹霞…俺はッッッ!!!!」


「櫂、行けッッッッッ!!!!!」


目の前で"立ち上がる"奇怪なそれは、巨大な蚕で。

窄まった先端が艶かしい動きを見せる。


それはまるで、手招きしている女の白い手の動きにも似て。


半透明の白い表皮が、やがて――

どくっどくっと脈動を始め…

中の…"何か"が動いているような気配を見せた。


気持ち悪い。


込み上げてくるものを必死に押し留め、それでもあたしの心は動かなかった。



…細やかに動く白色が、足元から這い登る気色悪さがあった。


あの幻覚ではなく、リアルな感覚。


これは幻覚じゃない。



それは…あたしの身体が感じている。


ああ、ちゃんとあたしだけに、向ってきているね?


夜空に旋回していた蝶も…こちらに急降下してくるのが見えた。



「芹霞、嫌だ、芹霞ッッッ!!!!」



櫂。


櫂。


昔から言ってたでしょう?


あたしは…

どんなことがあっても、櫂を見捨てないって。

櫂だけを守るって。


あたしは――



「芹霞ッッッッ!!!!」




櫂の為なら、喜んで死ねる。


それは…変わらないから。




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