シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
だけどそれはあたしを燃やすのではなく、
あたしについたものだけを器用に燃やし尽くす。
そして遂には――
目の前の蚕が…
そこから姿を現そうとしていたものが、
その姿を見せる前に、業火に包まれていたんだ。
ブォーーーーーーーッッ
汽笛に混じる悲鳴のような甲高い音。
何が起きたというのか。
あたしは――
本能で感じている。
あたしが見間違えるはずがない。
あたしの唯一の肉親。
その血の繋がりにおいて、
「お姉ちゃん…」
あたしの視界をすっと動いた赤色は――
神崎緋狭、その人だと悟る。
いつもよりも顔を強張らせたまま、それでも真っ赤な外套の裾を翻して歩く様は、どんな時でも毅然として勇ましく。
あたしは――
緋狭姉という存在に、希望を賭けた。
櫂の師匠であり、櫂を可愛がってきた緋狭姉。
櫂が翻弄されるその様を見て喜ぶぶっ飛んだ姉だけど、緋狭姉は絶対…櫂の敵にはならないと。
今までの態度は敵の目を欺いていたもので、今、緋狭姉は櫂の窮地救いにきたんだと。
だから、あの闇の生物を消してくれたのだと!!!
櫂を守ってくれるのだと!!!
だけど――
そんな期待は――
「覚悟は出来たか、坊。
私に、殺される覚悟は――」
裏切られたんだ。
ブォーーーーーーーッッ
「緋狭姉、何言ってるの!!!?」
あたしの心臓が――
陽斗が警告を告げた。
これ以上ないほど、心臓がどくどく鳴り続ける。
駄目だ。
緋狭姉と櫂を一緒にさせては駄目だ!!!
櫂は――
全ての身体の動きを止めて、
脱力したように俯くと。
「――はい。
出来ています」
ゆっくりと顔を上げて、
そう、弱弱しく笑ったんだ。