シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「櫂、もう少しの辛抱なんだよッッ!!!?

まだ走れば間に合うからッッ!!!」



「芹霞」


不意に。


交わった視線に――

あたしは心を掴まれた。





ブォーーーーーーーッッ





憂いの含んだ切れ長の目。

吸い込まれそうな、その漆黒の瞳。


そこにはいつものような不敵な様はなく。



――芹霞ちゃあああん!!!



「芹霞、俺は……」



口を開きかけて、そしてその唇をきゅっと噛んで――


静かに手首の布に口付けた。


目は…あたしからそらさずに。


真剣に。

ただ一途に。


まるで櫂が抑えた言葉を、その行為から見つけて欲しいと懇願されているかのように。


言えないのか。

言わないだけなのか。


だけどその…辛そうに歪まれた端正の顔は。


どこまでも美しく、誇り高く。

孤高のきらめきを放っていて。



そして、あたしに言ったんだ。



「芹霞、お前は…幸せになれ」



どうして?



「……ごめん」



ねえ…



「あたしの幸せの先には、櫂がいないと駄目なの!!!

判っているでしょ、そんなことくらいッッ!!!」



櫂は更に苦しそうな顔を見せて、そして無理矢理微笑んだ。



「ありがとう。


最期に…救われた」



最期?


ねえ、最期って何!!?
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