シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
あたしは狂ったように叫んだ。
緋狭姉の手が、櫂の胸を…穿ったんだ!!!
櫂の背中から出るのは、緋狭姉の腕。
それは容赦なく、ぐるりと回転される。
「櫂、櫂、櫂ッッッ!!!!」
そして引き抜かれる。
櫂の胸から噴水状に迸る真紅色。
櫂が…櫂が!!!
あたしは一心不乱に櫂の元に駆けつけた。
崩れ落ちる櫂の体を抱きとめた。
誰かが何かを言っている。
あたしが何かを叫んだ。
聞こえない。
もう何も聞こえない。
あたしの世界は櫂だけだ。
櫂以外の存在など、あたしは認めない。
あたしの両手は、温かな櫂の真紅色の液体で染まり行く。
それが櫂の命のような気がして、あたしは血を止めようと懸命になった。
「櫂、櫂!!!」
あたしの呼びかけに、櫂は…微かに震える瞼を薄く開けた。
限りなく…弱弱しい、今にも消え去りそうな…漆黒の瞳に宿る光。
『気高き獅子』の姿は何処にもなく。
誰もに畏怖され、賞賛され続けられてきた、あたしの自慢の…美貌の幼馴染は…
――芹霞ちゃあああん!!!
…8年前のような、あたしだけの櫂に戻っていた。
あたしだけをその目に映していた。
「芹……霞」
あたしの名を紡いだ直後、唇からも真紅色の液体が滴り落ちた。