シンデレラに玻璃の星冠をⅠ






「汽笛が鳴り終わった。


この勝負は…紫堂櫂の負けだ」



その声は誰のものか。



どうでもいい。


勝負なんてどうでもいい。




返して。


あたしの櫂を返して。




その時、あたしの手から…櫂が奪われた。



「やめて、あたしの櫂を、

櫂を返して!!!!」



あたしから引き剥がされる、櫂の身体。



櫂の身体を担いだのは久涅。



満足そうに…櫂の顔を見ると、その腰に縋るあたし諸共…すたすたと歩いて、



ボチャンッッ



海に突き落としたんだ。


叩き付けるように。




「やだ、櫂、櫂ッッッッッッ!!!!!」




ゆらゆら、ゆらゆら。


両手を大きく広げて、暗い海に漂う櫂。


漆黒を纏ったあたしの愛する人は、綺麗な顔を空に向けて。



海水は…やがて、


櫂が流し出す…どす黒い色に染められて。




そして静かに、静かに――


沈んでいったんだ。



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