シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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「しかし君の部屋は、いつ見ても散らかし放題の犬小屋だね!!!」


部屋で髪を乾かしていた時、遠坂が掃除機を持って入ってきた。


「俺、犬じゃねえってッッ!! 失礼だろうがッッ!! 大体な、男なら大雑把でいいんだよ!! 綺麗好きな奴なんて軟弱なのばっかだろうが」


「おお如月。君は師匠を軟弱呼ばわりしたね? これは弟子として是非報告にいかなくちゃ」


「!!! 行かなくていいからッッ!!」


絶対、玲がえげつなくなるの、目に見えている。


「綺麗好きになれとまでは言わないからさ、せめて脱いだ服とか食べたお菓子とか、読んだ漫画とか整頓して、機能性ある部屋にしようよ」


「あ? 別にここにあっても、動くのに支障ねえだろうが」


「……。如月。

片付けできない奴は、綺麗好きな神崎に愛想尽かされるぞ?」


「片付けよう」


即決だ。


見る見る間に部屋が片付いていった。


「よし遠坂。お前を"オカン"と呼んでやろう」


すると遠坂は嫌な顔をして。


「ボク、これでも一応人間だから」

「俺だって人間だッッ!!!」


遠坂は…いつの間にか、コスプレをしなくなった。


"約束の地(カナン)"からの帰還後、直ぐ様何かの格好するかと思ったけれど、普通の服だ。


「さすがに兄貴いるのにマズイでしょ。というかさ、コスプレは今でも好きだけれど…しなくても皆が招き入れてくれるし」


苦笑する遠坂を見て、コイツも寂しがり屋だったんだと感じた。
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