シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「櫂、下がってろ!!!」




玲が修復したはずの居間の窓を木っ端微塵に破壊させて、突き進んでくる青緑の光。



両手で偃月刀を構えた俺は、その光を弾こうとしたけれど、威力が大きすぎて跳ね返せねえ。両手がびりびり痺れてくる。


何だよ、小猿のくせに!!!


俺の横ですっと歩み出た桜が、一度お辞儀をするような格好で、そして俺の前で両手を大きく広げた。その瞬間、シールドのような壁が出来ていて。


俺から、ふっと抵抗力がなくなった。


俺が相手をしていた"力"は、桜が一身に相手をしていて。


「お前、何だこれ!!?」


よく見れば…糸で頑丈に編まれたようなものだ。


今、編んだのか?


まあそれはいいとして、その糸の盾は…力を跳ね返すというよりは、まるで包み込んでいるようで。


「吸収に決まってるだろッッ!!!」


少し苦しそうに、桜が叫んだ。


電光石火の速度で、防御の暇に直ぐ様攻撃に転じる桜が、吸収だって?


防御において"弾く"のは一番やりやすい。


一瞬だけ耐えて、力の軌道を逸らせばいいからだ。


だけど"吸収"は、全てを閉じ込めその威力を最後まで消していかないといけねえから、かなりの精神力と集中力が必要になる。


防御の長期戦みてえなものなんだ。


そんなのを、何で桜が?



「芹霞さんとの思い出ある大事な家なんだろうがッッ!!!

壊れたら誰が泣くと思ってんだッッ!!!


ぼやっとするな、手伝えッッ!!!」



は?



「てめえ、大事な家を壊す気かッッ!!!

てめえも吸収しろ、この馬鹿がッッ!!!」



ほろり。



お前…


口は悪いし、すぐぶん殴る乱暴者だけど、


いい奴だよな。




じゃあ、お前なら




判ってくれるよな?



理解してくれるよな?

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