シンデレラに玻璃の星冠をⅠ



「桜、俺――…







吸収なんて技、知らねえ…」








「あ!?」





「弾き専門」




目が点になるとはこんなことを言うのか。


桜の大きい目が、点のように小さくなって。



そして目よりも馬鹿でかい声が広がった。



「……てめえ、


緋狭様に師事してるんだろうがッッッ!!!」



桜がこっち向いて怒鳴った時、また一段と青緑色の力の威力が増して。




「回復も出来ない、吸収も出来ない…基本的なことも出来ないで、どうして緋狭様の火は操れるんだよッッッ!!!」



どうしてなんだろ?




「はははは」



突然櫂の笑い声が聞こえて。



反対側から突き出された櫂の手から、緑色の光が垂直に広がった。


桜の糸の盾を補佐するように包み込んで。



やっぱ櫂だ。


俺とは比較にならない力の放出、そして制御。



基本も応用も難なくこなす。



俺の自慢の幼馴染。




「何誇らしげにしてんだ!!!


てめえは櫂様の護衛なんだぞッッ!!!?


櫂様に守られて、どうすんだッッ!!!」




櫂が大きな力を吸収して消せば、静寂が拡がって。


桜の文句を除けば、だけど。


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