シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
――紅皇を崇めるのは勝手だが、神ではないということだけは覚えておけ。神がかり的な力を持とうとも、人間だ。



そうだ。


緋狭さんは、誰よりも人間なんだ。


誰よりも情が厚い…何処までも激しい人間で。


だとすれば…


――五皇も人間である限り、"欠陥"もあり、そして必ず"救い"はある。


絶望するにはまだ早い。


俺は緋狭さんに確かめないといけない。


それは俺の……


いや、赤色で堅固に繋がれた俺達の、根幹を揺るがす問いだから。




"緋狭さん。今でも俺達を愛してくれていますか?"





「いやあああ!!! なにあの壁の色!!!」




芹霞の声が、俺を現実に返した。



ムンクの叫び状態になっている芹霞。



月明かりの元とはいえ、はっきり目に映る青の色。


以前、皇城翠らにぶち抜かれた壁は――

青壁にて補修されていた。


その色だけで、誰の企てなのかは判るというもの。


「俺嫌だ、絶対あの色だけは嫌だッッッ!!!」


煌も頭を抱えて喚いた。


緊張感ないこの光景。


しかし…神崎家の住人にとっては切実な問題だったようだ。

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