シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「イチルは…どんな位置づけだ?」


櫂様の問いに答えられない私達。


曖昧な情報が跋扈して、イチルという客観的判断は困難だ。


「あのね…実は、合コンでイチルのお兄さんっていう人に会ってね」



黄幡計都という、義理の兄らしい。


「今大学生なんだけれど、蒼生ちゃんに言われて桐夏の数学教師…の代理のバイトをしているんだ。表向き、正式教師なんだけれど」


「氷皇に…?」


櫂様は目を瞑り、少し考え込まれた。


「うん。桐夏の学園長に押し付けたみたい。計都に聞けば…何か判るかもしれないよ。家は出ていてあまりイチル達とは交流がなかったとは言ってたけれど…他人が言うより信憑性がある。

例えば幼い頃の記憶でもいいから、何か身体的特徴とか知っているかも知れないし。あたしね、連絡先聞いてるんだ!!!」


そう芹霞さんが言った時、玲様がふわりと笑った。


「ありがとう、芹霞。

よく調べてくれたね」



すると芹霞さんは遠坂由香に抱きついて、突然泣き始めた。



「玲くんに…ようやく褒められたああああ!!! ようやく元に戻ったああああ!!! 合コン行って、計都と電話番号取り交わしててよかったよおおおっっ!!!」


複雑な視線が飛び交う。


玲様でさえ…何ともバツの悪そうなお顔で。


合コンで取り交わした携帯番号。


その意味がひっかかるのだろう。



「計都って誰だよ、芹霞!!!」


煌が、齧り付いたばかりの3つ目のおにぎりを、皿に投げ捨てて怒鳴る。



「お前――


不倫して喜ぶなよッッ!!!」



飛んでもないことを言い出して。
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