シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「では。一縷のブログを開いてみろ」
櫂が、真っ向から上岐妙を見据えた。
「玲。ここの電気系統は…どうだ?」
此処で、パソコンが使えるのかと聞きたいのだろう。
ここは――
「ああ、理事室とまた違った意味で…世俗のものとは分断された独自空間だ」
すごい。
桜華には…3つの電気系統が存在しているのか。
まあ…理事が氷皇なら、好きな処を好きに変えられるだろうけれど。
やはり…ここの主たる朱貴と何か確執があるのか。
櫂が桜を顎で促し、桜が頷いて疾風のように消えた。
そして数分で、青いパソコンを抱えて戻ってくる。
僕はそれを受け取り、パソコンを接続した。
動く。
「それでブログの画面を出してみろ」
上岐妙から睨んでいるような強い視線を感じる。
何でこんなに櫂に食ってかかるのか。
「お前が一縷の意識があるというのなら、出来るはずだろう」
これは――
賭けのようなものなのだ。
上岐妙は無言でパソコンの前に行くと、開かれたブラウザのアドレスに素早く英語を打込んだ。
独自ドメイン。
しかも…"https"
ブラウザーとサーバー間を暗号化しているセキュリティを強めたSSL認証を使って、出てきた入力画面に英数字を何度もしつこいくらいに打込み…画面を切り換えた。
その手付きは慣れている。
4回の認証だった。
どれも違うパスワードを手際よく入れていた上岐妙。
"CARCOSA(カルコサ)"。
黄色の背景色に、黒文字のロゴ。
それが画面一杯に拡がり…唯一の管理者であることを示す編集画面を…上岐妙は開いて見せた。