シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

・懺悔 櫂Side

 櫂Side
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「芹霞は道具じゃない。


ぶつけたい憎悪は――

――…俺にしろ」



俺は、玲にそう言った。


ああ――

俺に憎悪を向けるこの玲が、あの玲と無関係であればどんなによかっただろう。


――お前は、僕の可愛い従弟だよ?


玲。


玲。


だけど思ってしまったら――


一度、これは玲の本当の"心"ではないかと疑ってしまったら。


――此処で、醜くく朽ち果てれよ!!!


何処までも何処までも…

俺には、玲の心の叫びだと


それ以外のものには思えなくなってしまった。


俺を嵌める罠だと考えるには、あまりにも自分勝手すぎる…都合が良すぎる夢だと…俺は思った。


いつも、心の何処かで危惧していたはずだ。

いつか、玲が爆発する日がくるのではないかと。


訪れた現実は、俺の予想よりもかなりシビアで。


此の世界は玲の心の中、まざまざとその現実を突きつけられた。


心に映ったモノ、玲の激白は全て――

現実……真実のものなんだ。


玲。


並外れた玲の耐久力に、いつから俺は甘んじてしまっていたのか。


どうして今まで、恨まれていること前提に、物事を考えてこなかったのか。


それだけのことをした張本人は、この俺なのに。


画面に映る俺。


何処までも高飛車で無慈悲で。


そんな顔を、玲は心に刻んでいた。


…玲が微笑んでいてくれているのを、本当の玲だと安心しきっていた俺は、影で…泣き叫ぶ玲に気付きもしていなかった。


信頼だ、絆だ…耳触りいい言葉で誤魔化して、俺はあいつの本当の心に気づいていなかった。


俺は…何も言えなくなった。


言い訳一つ…許されないと思ったんだ。



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