先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】




授業中の窓から外を見るのが私の日課。

サボる先輩を見つけて、その様子をじっと見つめていた暑い夏の5時間目。


眠気なんて吹っ飛んじゃうくらい先輩はかっこいい。



先輩は、私の視線に気付いて…

ニコってね。



笑ってくれた。





そして、砂の上に書いたんだ。


『カレン』…って。






それは、私の人生で一番感動した出来事で、

誰にも言うことができないくらいに、大切な思い出になった。





たった一度の私との会話を

覚えていてくれた。




あのリレーの案内係だった私の名前を覚えていてくれた。




カレン…



先輩はレン…






< 14 / 34 >

この作品をシェア

pagetop