先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
思い出




先輩は制服を着崩す達人。


夏は夏で最高にかっこいいんだ。



やっぱり赤が好きなんだ。

赤いポロシャツを着て、先生に怒鳴られる。


白い制服のシャツは、ボタンを留めることなく羽織るだけ。

柄物のTシャツや、カラフルなノースリーブのシャツが背中に透ける。



青いスリッパの落書きは、卒業が近付くにつれて増えていった。


思い出を形に残そうとしているのか、先輩は壁に落書きをしていた。



怒られて逃げ出した先輩。


怒った先生はその落書きを見て、苦笑い。



『サラバ、俺の青春!』




消せないよ。

誰も消せない。






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