先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
後片付けを終えて、教室に荷物を取りに行った。
廊下の窓から運動場を見ると、卒業生が集まって写真を撮っていた。
先輩を探した。
赤いパーカー…
どこにいても目立つのに、見つけることができなかった。
もう、あの赤を見ることができないんだ。
当たり前のように
毎日いた先輩が、明日からいないんだ。
鞄の中にいつも大事に持ち歩いている赤いはちまきを握り締めた。
先輩、本当にさよならなんですね。