先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】


学ランなんてただ肩にかけてるだけで、

不良っぽい茶色い髪をかきあげる。




目が合った。



ニコ…



微笑んだ気がした。



気のせいかも知れない。




隣を歩くあの人の友達が言った。




『れん!!』



赤いパーカーの袖を伸ばして、寒そうに歩くあの人が

その声に振り向いた。




れん…



って言うんだ。





『かれん』と『れん』



似ている名前が嬉しくて、

私の恋は走り出した。








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