一途愛
「姫・・・送ってくよ。」

龍から出た言葉に 私は邪魔って言われた気がした。
ホントはその言葉聞きたくなかったよ。


私は立ちあがってコートを着た。

「龍・・・・。」
ミチルがすがるよな目で龍を見つめる。

龍はルナを抱き上げて


「もう過去は振り返るとつもりはない。
俺とおまえが絶対に戻れない訳は おまえの親に聞け。
親なら知ってる。
秀樹と仲良くやれよ。
あいつがおまえのこと好きだったの……
俺はずっと前から知ってたし
なのに俺は あいつを裏切ったんだ。
親友なのに………。」


「どういうこと?なんで親なの?
家のママが 龍のパパと浮気をしてても
そんなこと乗り越えたじゃない。
龍のママが猛反対したって……龍はミチルと
逃げるって言ったじゃん…。なのに何で?」


龍は 膝を折ってミチルの目線と同じにした。

「俺は…乗り越えた……。
絶望して…逃げて……もう何もかもイヤになった時
姫に出会った……。
だからもう おまえを引きずらない……。」

「ずるいよ……。私は引きずってる。
秀樹と付き合ったのだって…龍への復讐だった。」

龍はルナを私に渡した。


そしてまたミチルに視線を移して

「俺とおまえ…きょうだいだって……。
おまえは親父の実の子どもなんだって……。
だから絶対に…一緒にはなれない……。」

「うそ……。うそよ……。」

ミチルの混乱ぶりはもはや演技ではなくなっていた。
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