一途愛
後で立ち止まる龍を背中が感じてる。

龍を記憶して・・・・・。


綾人が突然の演技に目を丸くした。

「エレベーター来た来た~~。」
私は乗り込んで 前を見ないで閉のボタンを押した。

「姫。」

悲しくて涙が落ちた。

「ごめんね。大丈夫だから。」

見つめる綾人に泣きながら笑う。


「さっそく利用させてもらってごめん。」

「バカだな。切なすぎだよ。おまえら。」

「ほんと…でもうまく演技できたでしょ?
綾人が私の彼だって思ったよね。」

「……どうかな。
普通はそう思うけどな。」

「よかった……。」


「龍には知られたくない。
縛りつけたくないの・・・・・。
一人で産むって決めたんだもん。」


「そう言いながら おまえが辛そうだけどな。
それでいいなら よかったじゃん。」


「そうだね。よかったよ。
さ 気持ち切り替えて 綾人に何買ってもらおっかな。」


赤ちゃんがめちゃめちゃ動いた。
私を責めてるかのように お腹をぼこんぼこんって
蹴り続けている。
< 367 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop