繋いだ手
灯りをつけた部屋に、



置き去りに去れたあたしを思い知らされた。





入り口で立ち止まったまま部屋中を見渡す。



昨日まであった、


幸せのカタチ全て


ここに置いてきぼり。



この続きは

もう、




ない。



善の匂いがいっぱい溢れているまま。


善?どうしよう?



やっぱり、あたし、

そんなに大きな器じゃなかった。


あたし、一人ぼっちになっちゃったよ。



さっき、『繋いだ手』を
振りほどいた時には




まだ、現実感がなかったそれが、



脱ぎ捨てられたままの善の部屋着をみつけて


もう二度と袖を通すことがないんだと、


思うと、


駆け寄って、

善の匂いだらけのそれに


顔を埋めて、



声を殺し





泣いた。



膝の力が抜け、


全身から魂が抜き取られたかのように


あたしは、そこに崩れ落ちた。



善、無理だよ。



もう、善の声が聞きたいよ。



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