繋いだ手
善?


いつもだったら、


「そろそろ着いたかな?」


って、
善からの優しい電話が来る時間だね。



さっきまで一緒にいて、

また明日ってバイバイする

いつもと同じ、1日の終わり。


善の声に、
善の笑った顔が浮かんで、

きゅんってなるこの時間…。



でも、


違うんだね。



「また明日」の


心地よいバイバイじゃないんだね。



善?


一人戻って来た


部屋のテーブルに残された

飲みかけのコーラと、
マルメンの吸殻…



使って投げっぱなしの、
善が使ったバスタオル。


善?



嘘だよね?



夢だよね?



まだ、こんなに近くに


善の欠片が溢れているよ…


喧嘩をした時は、


いつも仲直りをしたあの公園。



また、あの公園にいけば、

奇跡は起こるかもしれない

と思って、

善の



「話がある」に

あたしが選んだ、


あの公園。


でも、


奇跡なんかなかった。



善?苦しいよ。



善の声がききたいよ。



叫んでも、叫んでも、


もう、届かないの?


ど真ん中から、聞いてるよって…


言ってくれないの?

善?


…善。


あなたに触れたい。


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