社長と小悪魔ハニーの年の差婚
トーマに肩を抱かれながら、スイートを出る。



身体は昨日の夜に逆戻り。

貪欲にトーマの温もりを求めていた。


トーマは何くわぬ顔で、エレベーターのボタンを押す。


さっきまで甘い顔で私を見つめていたのに、廊下に出た途端、キリッとした外の顔に早変わり。



トーマのようにキモチの切り替えの出来ない私はいつまでも、ボーッとしていた。



「来たぞ」


パンプスのつま先を見つめていた私は、トーマの声でハッとして、顔を上げた。


エレベーターが軽快な音と共に私たちに向かって、扉を開く。



中に入って、トーマがボタンを操作。


扉が閉まり、栗原さんの待つロビーにエレベーターは急降下。


昨日見た夜の街は静かな朝の街に変わっていた。







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