胸の音‐大好きな人へ‐
俺と歳の変わらなさそうな私服の男二人と、それにまとわりつくように歩いてる女3人が、こっちに向かって歩いてくる。
この辺の地区はわりと専門学校が多いから、そこの生徒かもな。
楽しそうにしゃべってるそいつらとすれ違う時、彼らの会話が驚くほど鋭く俺の耳を貫いた。
いま、なんて言った……!?
「春佳、絶対あれ整形してるってー」
「そのくらいした方がよかったでしょ、あれは。
ま、キモさは変わんないから可愛いとは思えないけど」
そいつらはギャハハハとかウケるーって言いながら俺の両脇を通り過ぎていく。
俺は反射的に、1番後ろを歩いてたチャラそうな男の腕を引っぱり、
「春佳って、杉下春佳のこと!?」
と、春佳のフルネームを口にした。
男は迷惑そうに顔をひきつらせ、
「それが何?
つーか、あんた誰?」
逃げる気はなさそうだから仕方なく腕を離してやったけど、コイツの周りにいる連れ達がゴチャゴチャうるさい。
春佳。整形。
2つの単語のつながりを詳しく尋ねようとする前に、派手で香水くさい女がベラベラと話し出す。
「あんた春佳の知り合いー?
あたしらアイツと同中なんだけどさー。
ここ、行ってみなよ。チョーウケるから」
何だかよく分からないままに、どこかの店のパンフレットを手渡された。