胸の音‐大好きな人へ‐
パチンコ屋についた。
二重に設けられた自動ドアをくぐるなり、耳を塞ぎたくなるほどの騒音が全身にぶつかってくる。
こういう店は初めて入ったけど、有線から流れる音楽とタバコのニオイ、どこから流れてるのか分からないほど騒々しいパチンコ台の音に、全神経がこわばる。
パチンコ屋はみんなこうなの?
朝にも関わらず、店内照明チッカチカで目がクラっとする。
パチンコ店の電気代は1時間で3千円かかるってウワサはホントっぽい。
分煙ってプレートかかってるけど、バリバリ臭うし。
じゃなくて、春佳を探さなきゃ。
ていうか、春佳ってパチンコやるっけ?
春佳の話は出来るだけ聞き漏らさないようにしてるけど、そんなこと話した記憶、ない。
ズラリと並んだパチンコ台の席は、所々客で埋まっている。
パチンココーナーにはおじいちゃんや中年のおばさん、
店全体のスペースのうち4分の1しかないスロットコーナーには、俺くらいの若いヤツばかりが陣取っている。大学生かニート?
男性用トイレを含めくまなく店内を見回ってみたけど、春佳の姿はない。
派手な制服を着た店員と思われるお兄さんやお姉さんがあちこちに立っていて、こっちをジロジロ見てくるのが非常に気まずい。
ああ、そっか。ここではパチンコやスロットやる人間が客なんだもんな。
ただ歩き回ってる俺に「何しに来たんだよ」という目を向けてきても不思議じゃない。