しゃぼん玉

どことなく逃げるような気持ちで食事を終えて自室に戻ったミズキは、中学時代のアルバムを取り出した。

その中には、いつも一緒に笑い合った、ヒデトのまぶしい笑顔がある。

“この笑顔を壊したのは、私なんだよね…………”


――――リョウが亡くなった中学の頃。

友達だったミズキの同級生は、リョウのことで彼女を非難した。

『姉なのに、なぜ弟の変化に気づかなかった?』

『自殺なんて、ありえない!』


リョウの死を受け止め切れていなかった当時のミズキには、彼女達の言葉が、鋭利(えいり)な刃物の切っ先が全身目掛けて飛んできたかのように感じられた。

元から深い傷口を、さらにえぐられるような………。


ゆえにミズキは、深い人付き合いをするのが怖くなり、それまで仲良くしていたヒデトのことも、遠ざけるようになってしまった。

ヒデトは、リョウのことがあった後も、変わらずミズキを愛してくれたのに……。

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