しゃぼん玉
自分がもっと大人で、自由に出来る金を多く持っていれば、ガツンとメイを叱ることが出来ただろう。
「そんなことさせない!
俺んとこに来い!」
なんて、甘い愛がこもったセリフをメイに贈れただろう。
だけどリクは、高校生。
親に養ってもらい、育ててもらっている立場。
そんな身分で、メイに偉そうなことは言えないと思った。
メイに関して責任を持てない自分がメイの悪事を止めたとして、その後の解決策なんて見出だせない。
一度、バイトをしてメイの暮らしを支えてあげたいと思ったこともある。
けれど、リクが通う南高校は、校則がゆるいわりに、なぜか原則バイトは禁止されている。
学業に専念しろという学校側の思想なのだろうか。
バイトがバレたら停学。
ひどければ退学処分を下される。
実際、リクの学年に、バイトをしてそういう処罰を受けた生徒がいた。