しゃぼん玉
リクは親に感謝している。
メイも大事だが、メイを理由に退学になったら、両親をガッカリさせてしまう。
なのでバイトすることはあきらめた。
あまり高い物は買ってあげられないけど、リクはなるべく、小遣いを使わないようにしていた。
メイのために、何かをしてあげたくて…………。
万引きした品物は、店の人の苦しみや悔しさの上で、メイに使われている。
リクは、堂々と使っても後ろめたくない物を、メイに与えたかった。
メイは「万引き」という犯罪行為に慣れすぎて、もう罪悪感なんて感じていないのかもしれない。
二人がショッピングモールに着いた時、メイは無表情だったが、商品を見て回るその足取りは普段以上に弾んでいる。
“顔だけ見てると全然わかんないけど、やっぱりメイも嬉しいんだな。こういうの”
リクはかすかに微笑んだのだった。