しゃぼん玉

ミズキは、その子と穂積メイを重ねた。

「その子、今頃、どうしてるんだろうね……」

「まだ高校生だから施設にいると思う。

両親に捨てられたも同然だし、ものすごく傷ついていると思うわ……」

菜月もミズキも、ただ心配することしか出来なかった。

今のミズキは、この心配すら、してはいけないことな気がしていた。

“偽善者”

穂積メイに言われた言葉が、胸に去来し、ズキンとにぶい痛みを産む。


菜月は雰囲気を変えるように明るく、

「いきなりそんな話してきて、どうしたの?」

「あ、うん。

心理学の授業で、先生が余談として虐待の話してたから」

ミズキは嘘をついた。

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