しゃぼん玉
以来、そのママ友は菜月や周りのママ友に心を閉ざし、子供を可愛がることをやめた。
その子を言葉や暴力で痛めつけた挙げ句、施設に預けたまま蒸発してしまった。
その子はいま、無事に生きていればミズキと同い年になる。
その子が今どうしているのか、知る術(すべ)はもうない。
当時の菜月は、そのママ友のことを軽蔑してしまったという。
もう友達だとは思えなくなっていたのだ。
「親になるという心が持てなかったその夫婦を見て、私は嫌な気持ちになっちゃってね……。
不倫も虐待も最低!って……。
いまは、そのママをもっと助けてあげるべきだったと思う。
話を聞いて、協力してあげるべきだったのかもしれない。
その時の私は、そのママの辛さより子供の気持ちを中心に考えてしまって……。
育児放棄をした人の言い訳なんて聞きたくない、理解できない、って、距離を置いてしまったの。
『ママ友』とか言っておいて、結局、うわべだけの付き合いしか出来なかった……」