しゃぼん玉
正美のその言葉が、敏感になっているリクの神経を逆なでした。
「それが何!?
付き合ってないけど、付き合ってるって言えばすんなり面倒見てくれるわけ?
どうせ違うだろ!!
だいたい、そんなこと関係ないじゃん!!
メイと俺は幼なじみ。
それだけじゃ、助ける理由にならないの?」
正美はリクの怒り様に困り、夫の顔を見た。
義弘はそれを察し、重々しい声色で、
「リク……。
お前は本当に、メイちゃんを助けられるとでも思ってるのか?
少しウチでメイちゃんの面倒を見たからといって、メイちゃんの全てをわかった気になっているだけじゃないのか?」
「そんな質問、いまさらだな!
俺は、昔からメイのこと見てきた!
助けられるのは俺しかいない!!」
「それは、思い上がりじゃないか?
お前は、虐待を受けた子の傷を本当に理解できるか?
ただ同情して、それに満足してしまっているだけじゃないか?」
「違う!!
そんなことない!!」
緊迫した状況。
空気は秒刻みではりつめていく。