しゃぼん玉
「リク、わかってちょうだい?
たしかにウチは、何もやましいことはしてない。
でも、親の許可なく、未成年の子をずっとここに居させるわけにはいかないの」
「メイを預かること、たしかにおばさんには話してないし、許可ももらってない……。
でも、メイんちは仕方ないじゃん!
おばさんは、メイを叩いたり、他にもいろいろ……」
あの日見たメイの部屋の様子を思い出し、リクは涙が出そうになった。
「だから、施設で預かってもらおうと言ってるんだ」
義弘が威圧感のある声で言った。
言おうかどうか迷ったが、
「メイは施設が嫌いなんだ!」
と、リクは両親に打ち明けた。
「だから、頼むよ。
もう少しウチで、メイを置いてあげてよ……」
リクの瞳には涙が溢れ、それらは床に滴(したた)り落ちた。
しばらくの沈黙の後、正美が口を開いた。
「リクは、メイちゃんとお付き合いしているわけではないんでしょう?」